左鼠経リンパ節切除および放射線照射後左脚リンパ浮腫発症された男性、なんと30年ぶりに浮腫が悪化したとして来院されました。 体重は増加しても浮腫の状態はそれほど変わらないようですが、10年ほど前から歩き始めると下腿に痛みが出てきていて、しばらく休むと歩けるようになるとのことです。このたびその症状が強くなり、リンパ浮腫が悪化したのではないかと来院されました。
脚のむくみは目に見えるので、多くの方が原因をむくみに求めがちですが、この痛みはリンパ浮腫とは関係なく、間欠性跛行と言って患肢の動脈の流れが悪い時に起きる典型的な症状です。脚の狭心症と思うと分かり易いかと思います。
この方の場合、リンパ節切除や照射により鼠径部周辺の組織がひきつれてきて、徐々に動脈を巻き込み、動脈が細くなって血流が悪くなってきていたものと思われます。脚の血圧を測ると右脚より低く、ドップラー計で脈波を見ると健康側より動脈波形が平坦になっていました。これを閉塞性動脈硬化症と言い、通常は狭心症と同様に動脈硬化が進むことで発症しますが、この方のように手術後の組織の瘢痕化などの影響でも起きることもあります。そのため、初診時に動脈系も確認しておく必要があります。
リンパ浮腫では強い圧の弾性ストッキング(クラスⅢ 40~50)を用いますが、強い圧によって動脈が圧迫されるとその分血流は悪くなり症状が悪化します。そのため、弾性ストッキングを履くと脚がしびれることで気づくこともあります。動脈系の検査は通常の医療機関では行っていないことも多いかと思われますが、ご心配でしたら確認して頂くと良いでしょう。もし動脈系の血流低下が疑われるようでしたら、危険ですので弾性ストッキングの圧を弱くするなりの対応が必要となります。
やっと寒い時期が過ぎ、桜やツツジなど見られるようになり、先日足利フラワーパークに行ってきました。ここは藤の花が有名ですが、ツツジなど多くの花が咲き誇り、文字通り一面お花畑で圧倒されます。写真は藤棚ですが、そのような色鮮やかな花が一面に咲いている中で、何故か一人の若い女性が道路わきにしゃがみこんで道端のタンポポの綿ボウシを熱心に撮っていたのが何とも印象的でした。(廣田彰男)
