いつも書いていますが、むくみは立っていると重力に従って下の方に落ちてきます。リンパ浮腫でも同様で、蛋白濃度の濃いむくみ(浮腫液)はねっとりと下の方に落ちてきて脚のリンパ浮腫となります。そのむくみを治療するには、まず重力に負けないように脚を上げて上方(体幹部)へ戻してあげることがもっとも基本となります。さらに運動などのマッサージ効果やリンパドレナージなどでお手伝いします。最近はより積極的にLVA(リンパ管静脈吻合手術)なども入るかもしれません。首尾よくむくみが体幹部の方に戻ってくれたら、今度は再び脚の方に落ちてこないように弾性ストッキングでしっかりと押さえてマッサージ効果も強める、と言うのが一連の基本的な考え方です。
ここで、むくみを体幹部に戻す途中に脂肪があるとそれが邪魔をして、むくみは上方へ流れることができません。そのため、体重が多い、肥満があると治療は大変難しくなります。せっかく皮下組織内を流れて行こうとしていても、そこに”皮下脂肪”がたっぷりとあると流れることができません。そのため、リンパ浮腫の治療でもっとも大切なのはまず”減量”と言うことになります。
いわゆる肥満があると”減量”は分かり易いのですが、肥満がない場合どう考えるかと言うと、それでもやはり脂肪は少ない方がむくみにとっては有利です。例えば何らかのご病気で寝込んでしまってげっそり痩せてしまうと脚のリンパ浮腫は改善します。ですが、当然ながら健康を損ねるほどに減量して脚を細くすることはしてはいけません。あくまで全身の健康状態を保ちつつ、その範囲内で減量を目指します。例えば最近少し体重が増えたなと思ったら、その分だけ減らしてみる、とか、ご自分のベスト体重を目指してみるとか、が現実的かと思います。
体重が増えてリンパ浮腫が増悪するケースは大変多いです。その場合は体重が増えた原因を探します。よくあるのは、仕事を辞めて通勤しなくなった、仕事が在宅になった、そのため家での間食が増えた、外食が増えた、など、何らかの環境の変化があった場合です。これは患者さんご本人が仰らなくても、患肢周径を測定して以前と比べると変化に気がつきます。周径を測定するとほぼ何キログラムくらい増えたか推測できます。それくらいに、体重は脚の太さに敏感に影響します。
このような場合、例えば間食が増えた、とか、自覚されている場合は間食を止めると良い訳で対応はシンプルです。ですが、ご自分では食べ過ぎている認識がない場合は難しいです。昨年6月から当院では栄養指導も可能となっておりますので、ご希望の方はお申し出ください。(廣田彰男)
