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浮腫

特発性浮腫

 あまり話題になりませんが、特発性浮腫という疾患があります。若い~中年女性に見られ、一日の体重変動が1.5Kgくらい以上あることで疑います。朝は顔などにむくみがありますが、夜には下半身にみられ、日中はほとんど排尿がないことが特徴です。診断も、病態も曖昧としており、最新の研究などもないようですが、ご参考までにご紹介しておきます。以下は、以前に私の書いた記事の概要です。

 心,腎,肝、甲状腺,栄養障害,薬剤性(Na貯留性),脈管疾患などの基礎病変がないにもかかわらず浮腫を来すもので、ほとんどが成人女性に見られ、体位その他により著しく症状が変動するなど、浮腫の症状にかなりの特徴を有するものをいう。除外診断なので将来幾つかの疾患に分かれる可能性もある。

 20-40歳代が多く、初潮前、閉経後の発症は少ない。働いている未婚女性がストレスや葛藤を持つ環境にある時に、なんらかのきっかけから発症することが多い。 性格はかなり特徴的で神経質、情緒不安定とされるが、むしろ内向的、細やかな気遣い、周囲への過敏な反応を示すと考えた方が適切である。容姿や美容的な面への関心も強く、利尿剤を常用して浮腫を調節していることも多い。ふっくらしている傾向もあるとされるが、急速な体重増加に伴う浮腫は除外される。

 頭痛、抑うつ、心気症的、指先の塞冷、便秘、腹部膨渦感、口渇などを訴えることもある。 浮腫は圧窩性,非圧窩性ともみられる。朝には顔面、手、夕刻には下肢特に足、下腿に強い(重力の影響)。日中活動期の尿量は極めて少なく、夜間に急増するため、翌朝には体重が減少する。 長時間の立位、運動、食塩摂取、不規則な睡眠、ストレス、夏期には増悪し、横臥、安静、食塩制限、体冷却、冬期には軽減する。月経前浮腫とは異なる。病態として起立性浮腫の要素も含まれるが、起立性浮腫では朝の浮腫や体重の日内変動は特徴としては挙げられない。

 治療として、原因不明のため確立された治療法はないが、弾性ストッキングが有効のことが多い。精神的な問題がある場合はその対処が必要となる。利尿剤は原則的には用いないが、使用する場合は少量の間欠投与とし、時に休薬し乱用は厳に慎む。

1)島本和明,中川基哉,飯村攻:特発性浮腫.日臨, 40(3):136-143,1982.

2)七里真蔵,椎貝遠夫:全身性浮腫一特発性浮腫.医学と薬学,12(1):63-66.1984.

3)Streeten,D.H.: Studies of the pathogenesis of idiopathic oedema: the roles of postural changes in plasma volume, plasma renin activity, aldosterone secretion rate and glomerular filtration rate in the retention of sodium and water. Clin Sci Mol Med.45(3):347-73,1973

(彼岸花、廣田彰男)

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