70歳乳がん術後腕のリンパ浮腫の患者様。2年ほど前、初診時は、ほどほど、中等度のリンパ浮腫で、順調に経過していましたが、このたび急に上腕に発赤が見られたとの事でご来院されました。何かきっかけは無いかとお尋ねしましたところ、4月にお母様が亡くなられ、葬儀、実家の片付け等のほか、相続問題で疲れ果て、やっと一息ついたところ、とのことでした。ちなみに、海外旅行などでもそうですが、帰国してホッとしたら炎症が発症する、という事は多いように感じます。
私は診察時、日常生活上の注意として、図のような印刷物をお渡ししています。この1,2,3、の、お世話、葬儀、そして後片付けの一連の流れは非常に負担になることが多いようです。1だけでも負担となります。ご両親のお世話、介護の他、お孫さんが遊びに来て、嬉しいんだけれど疲れてしまった、と言う方も多いです。この方の場合は相続問題も絡んでとても大変だったようです。
この共通点は何かと言うと、他人のために、他人に合わせて、責任を持って、けして楽しい事ではない、自分を優先できずに、しかも途中で止めることができない、と言う事です。2番目の葬儀の参列は、冠婚葬祭とされる医療者もおられますが、私は結婚式で悪化した方は診たことがありません。イヤ~なヤツの結婚式でも一応それほど負担にならないようです。このように考えるとリンパ管は楽しいと良く動いているのだろうと思います。また実家の後片づけで引っ越し、草むしりなども相当負担で、埃や土が絡むとどうも蜂窩織炎を起こしやすいようです。長い時間同じ姿勢で、ゴム手袋や長靴を履いてもけして万全ではありません。4番の、腕の方はパソコンや編み物、脚の方は長時間立ち尽くす、など同じ動作を長時間単調に繰り返すとどうも負担になります。
このように考えると、どうすれば良いかと言うと、飽きたら止める、嫌になったら止める、頑張らない、自分の体調を優先する、根をつめない、すなわち、自分勝手に生きる!、無理しない、と言う事が良い事になります。この資料を患者さんにお渡しすると、家の中に貼っておきます、と言う方も多いです。ただし、それができれば世話はない、とも言えます。それと体重は最も基本で、体重が多いとどんなに注意してもコントロールはできません。多い方はとにかく体重です。(廣田彰男)
