63歳女性、卵巣がん術後右脚リンパ浮腫、152㎝、72.7Kg。下肢周径(鼠経、大腿、下腿、足首)は68,56,50,29㎝(健側左は53, 46, 39, 23)。下腿の太さは40㎝を超すと太く感じますが、50㎝はかなり太いです。下腿中心に蜂窩織炎がありましたが抗生剤は使用せず冷却のみとし、下腿のみ弾性包帯にて圧迫。炎症があると患肢は硬く張った感じがしますが、約2か月後炎症が改善傾向、軟らかくなったので弾性ストッキング(4Lサイズ、クラスⅢ)が履けるようになり着用開始しましたが、周径はまだ66,57,49.5,30㎝で太いままでした。そのため減量をさらに心がけていただきましたところ、1か月後66.8Kgまで減少、同時に患肢周径は、62,55,44,27.5㎝と一気に改善いたしました。この調子でもう一息です。さらに1か月後は2Lサイズを目指します。体重がもっとも大きな影響を持っていますので、とにかく減量です。
なお、当院では廣田尚紀医師が専門医の立場から具体的な食事指導を行っております。ご希望の方は受付にお問い合わせください。オンライン診療でも可能です。
この方は卵巣がんですが、女性の下肢の二次性リンパ浮腫の原疾患は多くは子宮頸がんです。子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が関係していることはよく知られていますが、ワクチン接種はあまり普及しておりません。このたびワクチン接種により子宮頸がん死亡率が大幅に低下した(Lancet 2021; 398: 2084-2092)との論文が紹介されていました。
リンパ浮腫の治療が様々進歩したかのように言われますが、最大の治療は原疾患にかからないこと、予防である、との当たり前のことを改めて考えさせられます。下肢のリンパ浮腫で最も多いのは子宮頸がん術後ですから、ワクチンが普及して子宮頸がん自体の発症が激減したら、リンパ浮腫も激減するだろうと思います。私たちのリンパ浮腫の仕事が減ってしまうのがもっとも良いことです。(ベゴニア 廣田彰男)
