むくみは重力によって簡単に移動します。リンパ浮腫で腕がむくんでいる場合、そのむくみの部位は生活状況によって変わります、と言うか、決まります。誤解されることが多いですが、むくんでいる部分のリンパ管が悪いからその部位がむくんでいるのではなく、その部位にむくみが流れてくるのです。たとえば手の甲のむくみが明らかな場合は、手を下垂している状況が多いです。逆に言うとずっと手を挙げていれば手の甲はむくみません。たとえば机に肘をついて生活しているとむくみは肘の方に移動します。ですがそれが出来ないのが日常生活です。
むくみは水のように流れますから、手の甲のむくみが気になる方は手を極力水平より上げた状態で生活します。たとえばいつも使う道具が下の棚に入っているなら、上の棚に移すと水平より上の位置で手を使えます。電車内で支え棒を握る時は上の方を握ります。ただどうしても水仕事とか、ピアノを弾くとかは水平より上には持ってこれません。
上げておくという注意は24時間常に必要です。1時間一生懸命上げ続けたのに良くならない、というのは当たり前で、けしてそのようなものではありません。水ですので、ちょっと下を向けると流れ始めます。常に手が上の方に位置するように心がける、という事です。どうしても手が下方に行くことが避けられないなら弾性グローブなどを利用します。
もう一つ手の甲がむくむ場合があります。それは手の炎症(蜂窩織炎)がある場合です。いつも書いていますが、リンパ浮腫における蜂窩織炎は真っ赤になって熱が出る、場合は意外と少なく、慢性的に何となく持続している場合が多いです。ただ、むくんでいるとリンパ浮腫の皮膚はむくみのために表面上は白く見えますから、炎症ではない、と思ってしまいます。その場合はむくみを指で強く圧迫してみて指の跡が赤く残るかどうかを確かめてみると判断の参考になると思います。指の跡が赤く残っていたら炎症がこもっている可能性があります。そのような場合は炎症としての対応をしないと、いくら手を上げていても良くはなりません。
まだまだ寒いのにもう梅が咲き始めました。(廣田彰男)
