リンパ浮腫

診療現場からの雑感1

 私はすでに40年以上リンパ浮腫の臨床に関わらせて頂いております。リンパ浮腫診療の世界自体がずいぶんと変化してきましたが、基本的なささいなことでふと気になる事もあります。これからもあまりお伝えする機会はないと思いますので、この場でそのような雑感をたまに記していきたいと思います。ご参考までにご覧いただけると幸いです。 

 医療機関に行くと必ずと言って良いほど採血や様々な検査が行われます。当院でも当初はルチンに行っていました。ですがリンパ浮腫の方のほとんどは術後発症で当然ながらすでに多くの検査をしておられます。そのため私はデータをご持参いただくことで当院では検査はしないように致しました。逆に、検査された場合そのデータは患者さんご自身のものですのでぜひそのデータ資料を頂いて保管しておいてください。ちょっと前に検査したのに、また採血しましょう、は痛いですし、手間ですし、医療費としても勿体ないです。

 同時にリンパ浮腫の診断はいわゆる診察、これまでの経過をお聞きして、見て、触れて判断できる要素が多いです。丁寧に診ると様々な情報が得られます。皮膚科に近いかもしれません。リンパ管自体の検査は一般診療では難しく、意外と大掛かりになりますが、これは一次性疑いでどうしても診断が難しい場合や、治療として外科手術などを考慮する場合に行われると考えて良いかと思います。一般的には治療するために精査を受けなくてはならないケースは少ないと思われます。しっかりと診て判断して頂く事が大切と思います。

 また、リンパ浮腫の治療は医療行為ですので、いわゆる治療院でのリンパドレナージ等のリンパ浮腫に対する施術などは厳密には認められておりません。最近なし崩し的に行われている実情がありますので注意が必要です。

                     (画像:山茶花 廣田彰男)

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